2026.07.11 院長コラム
食後の血糖値が気になる方へ
食後高血糖は糖尿病の始まりです
健康診断で「血糖値が少し高い」「HbA1cが少し高め」と言われたことはありませんか。また、空腹時血糖は正常でも、食後だけ血糖値が高くなる「食後高血糖」の状態になっている方も少なくありません。
糖尿病の指標は、血糖とHbA1c(数か月の血糖の平均を反映するもの)です。特に食後高血糖は、糖尿病の初期にみられることが多い状態です。職場の健康診断などは空腹で血糖を測定するため、食後高血糖には気づきにくいですが、実は早い時期から血管に負担をかけ、動脈硬化を進めることが分かっています。心筋梗塞や脳梗塞などの原因にもなり得るため、早めに対策を始めることが大切です。
通常は、食事をすると膵臓からインスリンというホルモンが分泌され、血液中のブドウ糖を細胞へ取り込むことで血糖値は適切な範囲に保たれます。しかし、糖尿病の初期にはインスリンの分泌が遅れたり、働きが弱くなったりするため、食後に血糖値が大きく上昇します。この状態が長く続くと、血管が傷つき、さまざまな病気を引き起こす原因になります。
食後高血糖は、自覚症状がほとんどありません。そのため、「元気だから大丈夫」と思っていても、知らないうちに病気が進行していることがあります。健康診断だけでは見つかりにくい場合もあり、必要に応じて食後血糖値を測定することが重要です。
食後高血糖を改善するために
まず大切なのは、毎日の食生活を見直すことです。
食事は、野菜や海藻、きのこ類など食物繊維を多く含む食品を十分に取り入れましょう。また、ご飯やパン、麺類などの炭水化物を食べ過ぎないことも大切です。甘い飲み物やお菓子はできるだけ控え、腹八分目を心がけましょう。魚、肉、卵、大豆製品などのたんぱく質をバランスよく取り入れることも血糖値の急激な上昇を抑える助けになります。
次におすすめしたいのが、食後の軽い運動です。食後15~30分頃から10~20分程度歩くだけでも、筋肉がブドウ糖を利用するため血糖値の上昇を抑える効果があります。無理な運動をする必要はありません。散歩や少し速めのウォーキング、階段の昇降など、続けられる運動を習慣にすることが大切です。
体重が増えている方では、現在の体重の3~5%程度減量するだけでも血糖値が改善することがあります。また、十分な睡眠をとることも重要です。睡眠不足や睡眠時無呼吸症候群は血糖値を悪化させることが知られています。大きないびきや日中の強い眠気がある方は、一度ご相談ください。
食後高血糖だけであれば、以上のような注意で、かなり良くなることがあります。
生活習慣を改善しても十分な効果が得られない場合には、お薬による治療を行うことがあります。食後高血糖を改善する薬には、糖の吸収をゆるやかにする薬や、食後のインスリン分泌を助ける薬などがあり、患者さんの状態に合わせて選択します。
軽症でも放置しないことが大切です
食後高血糖は「軽い糖尿病」ではなく、将来の糖尿病や心臓・血管の病気への入り口ともいえる状態です。しかし、早い段階で生活習慣を改善し、必要に応じて適切な治療を始めれば、血糖値を良好に保ち、合併症を予防することが期待できます。
当院では、血糖値やHbA1cだけでなく、患者さん一人ひとりの生活習慣や体重、血圧、脂質異常症なども含めて総合的に評価し、無理なく続けられる治療をご提案しています。
健康診断で血糖値を指摘された方、糖尿病が心配な方、ご家族に糖尿病の方がいる方は、お気軽にご相談ください。早めの対策が、将来の健康を守る第一歩になります。