2020.11.14 院長コラム
ご無礼も礼のうち
私が住む地域は、高齢の方で魅力的な人物が極めて多く、日々の診察も楽しくさせていただいております。決してだてに年を重ねているわけではない、静かな迫力さえ感じる方々がたくさんいらっしゃいます。 その一人で私も含め皆さんに尊敬されておられるAさんはある病気で大きな病院に紹介入院していただいたことがあります。かなり高齢で心配な状態ではありましたが、無事帰ってきてほしいと願っていました。一度お見舞いに行ったところ、かなり息が苦しそうな状態にもかかわらず、無理して見舞い客である私に切れ切れの息で一生懸命応えようとしてくれました。私は「ああ、これは却ってご迷惑をかけてしまったな。失敗したな。」と思い、早々に引き上げました。その短い時間にもかかわらずAさんはまた一つ私に名言を教えてくれました。 「先生、今回私はどなたにも入院したことを伝えておりません。皆さんにご連絡して心配をかけるのもご迷惑なことなので、ご無礼と知りつつ連絡しておりません。この年になるとご無礼も礼のうちですのよ。」 礼を知り尽くしたAさんから伺ったからこそ「ご無礼も礼のうち」この言葉の真実をしみじみ感じることが出来ました。私は逆に礼のつもりでお見舞いに伺って、却って無礼をしてしまったようです。Aさんにはこれからも長生きしてご指導をお願いしたいものです。 |
2009年11月09日 |