最近、KW乳酸菌という花粉アレルギーを改善しやすい乳酸菌が関東圏を中心に発売されている。なぜ乳酸菌がアレルギーに効くのか。その理論は「細菌感染が起こりにくい清潔な環境にいるとアレルギー病が起こりやすくなる。」というのである。そこで、体に害がないような細菌(乳酸菌)を体に入れてアレルギーを減らそうというしくみ。そもそもアレルギーは体を守るための免疫の異常反応であり、調節異常である。アレルギーのシステムをあまり使用しないと錆びついてしまい、いざというときにうまく働かないということか。 「それじゃあ、保健所は廃止して公衆衛生にも少し関心を払わなくすればいいじゃあないか」なんて考える意見も出ては来る。しかしそうはいかない。細菌の多い不潔な環境ではアレルギーは減るが細菌による多くの感染症で命をとられる者は明らかに増える。「自然に任せるのも運命さ」と腹をくくる者はそう多くはないだろう。もうすでに人間は自然では満足して生きてゆけないところに来ている。 結局のところ清潔感も中庸がよいということなんだろう。やはり中庸がよいという医学的例は多い。たとえば子宮をあまり使わないと子宮上部(子宮体部)の癌が増えるが、使いすぎると下部(子宮頚部)の癌が増える。心臓の拍動は速すぎると寿命が短縮するが、遅すぎると立ち眩みや失神、心不全を起こす。軽度の精神的ストレスは脳の活動を活発にするが過大なストレスはうつ病や神経症を増やす。その他いろいろな点で人間の体は中庸が必要であるようだ。 |