2020.11.14 院長コラム
相手も主役だということ
これはアラ環の男が言うべき言葉ではないことを自覚しつつ、若い年代の方の目に入ればと考え記する。「自分を大切にしろ」という。人生の主役は自分であることに何ら疑いはない。しかし、目の前に映る彼も、あの人も、全て自分と同じ、人生の主役を演じている。社会という舞台に準主役や脇役はなく、オールスターすべてが主役であるということが、映画やドラマと大きく違うところだ。今日荷物を届けてくれた宅配便の兄さんも、コンビニで会計をしてくれた女性も、車ですれ違った見知らぬ男性も、歩行中にガンを飛ばしてきた怖そうな兄さんも、みんなみんなこの舞台の主役だ。各々が自分の人生を一生懸命生きることはとっても大切だが、目の前の他人も全てが主役であることを忘れてはならない。しかも、全員主役という混沌とした舞台では、本当は憎しみや争いが生じてもおかしくはないわけで、国家間の紛争も個人の争いも全てそれに由来しているように思える。ある国家元首が「○○ファースト」と繰り返すが、彼はおそらくみんなが自分ファーストであることを忘れているか、思い出したくないと思っている。しかし、みんなが主役、心からそう思ったら、そう簡単に人にぞんざいに対応したり喧嘩したりすることが減るのではないか。